建替えのきっかけ
とある地方都市で、まじめに働くサラリーマンの夫が
狭いながらも楽しい我が家を築き、
妻と二人の子供と幸せに暮らしておりました。
彼は、都会育ちの一人息子。
しかし、女姉妹も実家の近くに住んでいることで、両親はわりと地方暮らしの息子家族を温かく緩やかに放任し、自分たちも気ままに暮らしておりました。
車で5時間ほど離れている距離というのは、
彼らにとっては、ほどよい距離でした。
ちょっと奮発して新幹線を使えば、ドアtoドアで3時間ほどですし。
就職と共に地方に出ていた息子は、初任地で嫁さんをもらい、
次に転勤した場所で一戸建てを購入し、
「いつかは帰ってくるんだろう…」と、淡い希望を抱いている両親も、
実際は、ようやくそのまた両親をすべて見送って、ようやくほっと一安心。
のんびり暮らしている今日この頃。
現段階では、息子を呼び戻し、育ち盛りの孫達との喧噪の生活など
望むべきもないのが、偽らざる心情のご様子なのです。
そんな、緩やかな家族関係ゆえ
嫁姑関係のいざこざなどをおきる隙間もなく、
非常に心地よく過ごしておりました。
息子夫婦にとって、結婚15年目のとある初夏のこと。
初夏とはいえ、長雨が続きうすら寒い日が続いている時期でありました。
父から1本の電話がかかってきます。相手は嫁。
「おう、今月は忙しいのかい?
実はよぉ、家を建て替えようかと思っているんだよ。
今月中に契約するから、お前さんだけでも、1日こちらに来れねぇかい?」
常日頃から、義両親との会話に対して、とりあえず第一声目はポジティブに返答するように習慣づけている嫁。「はい分かりました。じゃ、日にちがちゃんと決まったら連絡してね」と、受話器を置きました。
………えぇぇぇ〜!!?建替える???
これが、嫁=私に起こった初夏の大事件の幕開けでした。