フルオーダーの家作り

どのような家が「よい家」なのかを考えてみましょう。

住宅展示場に立ち並ぶ住宅、ハウスメーカーのカタログに乗っているすばらしい家は、デザイン的にも優れ、機能的価値もうたっていますが、実はあまり現実的ではありません。

商品を売り込むには、まずインパクトが必要ですから、ある意味
あり得ないだろう…ぐらいの空間を提案します。
展示場などでは、床面積もかなり余裕をもって作られていますし。

「大空間」は、広々として心地よいのですが、空調のコストがかかります。
また、意外と自分の居場所が定まらず、落ち着かないものです。

「大開口」は、外と内とのつながりを考え、自然と共に暮らす”エコライフ”のようなイメージがありますが、実際、都市部の住宅地では、近隣住宅が迫っているので、実際に作ってはみたものの、外からの視線が気になってカーテンをしめたまま、ということにもなりかねません。

また、入りすぎる日差しに辟易することがあるかもしれません。

建物は周辺環境と共に設計するものであって、単体だけで考えるのはとても危険なことです。

住まいの「心地よさ」には、人それぞれ違い、かなりの幅があります。
長年一緒に暮らしてきた家族でさえも、色の好みや空間に対する考え方が違うでしょうから、お互いによく話し合う必要があります。

住宅を購入するには、
・既製品を買う(中古住宅、建売住宅、マンションなど)
・ある程度決まったプランの物をアレンジしながら建てる
・完全に自分たちの好みでオーダーする
といった方法があります。


今回のように、隅々まで自分たちの仕様に合わせて考えられる、というのはとても幸せなことです。

たとえば、我々家族は正直なところ、全員がきちんとした整理整頓が苦手ですよね。

みんな少しずつ視力が弱くて、みんな少しずつ薬を飲んでいて、あちこちに足をぶつけながら歩いています。なんとかならないかと思っている毎日ですが、そんなことモデルハウスは知ったこっちゃありません。

全員がわかるところに、皆が使うものを置いておきたいし、
個人の持ち物でも、皆が知っておかなければいけないもの(たとえば薬とか、大事な書類とか、お金の置き場所とかです)
そういうものは、安全で手の届くところにまとめて置いておきたいでしょう。

細かい整理をせずとも、だいたいいつもここに置いてあるだろう、
ぐらいの”物の居場所”が決められてあったら、便利でしょうね。

キッチンが最たるものです。
台所が主婦の城であるのは一昔前の意見。
主婦だって、旅行に行くことも、体調を壊すこともあります。
ご飯のおかわりや、トースター、給湯ポットを使うのに、
誰かにお願いをせずとも、マイセルフで使えたら、
いつでもお腹が満たせますよね。

誰かが出しっぱなしにしておいたものでも、勝手に触るけれど必ずここに移動しておきますよ、という、”お父さん専用棚”みたいな場所があれば、お互いのイライラも解消するでしょう。

そういう、とてつもない細かい望みを、頭の中でシミュレーションしながら形づくっていくのが設計の仕事です。フルオーダーの家というのは、そういう小さい希望を叶えられるということなのです。


今の私達の家は、とても平均的な4人家族に受け入れられるように計画しました。

今は狭小敷地・住宅でも、自分たちのライフスタイルに合わせた個性的なプランの家も数多くあります。
テレビ番組でも人気がありますよね。

しかし、8年前、当時の私は「個性」は必要ないと考えていました。
一番の理由は、転売の可能性を最初から意識していたからです。

とにかく、導線が良いことと、無駄を省いたローコストを意識しました。
生まれてから10歳くらいまでの子供がいる世帯は、数年単位で生活スタイルが変わます。子供達はまだ幼稚園入る前でしたから。

今度の家を自分たちの好みに考えられるならば、
もう子供達は自我が芽生えつつあり、自分の空間、大きくなったころの予想、
今までの生活の不便な点などを考慮して、
もっとよりよいものが作れるでしょう。
もっと細やかに、自分たちの導線のクセを取り入れることができるでしょう。

なんせ我が家の4人は、同じところに集まる傾向があり、
台所しかり、洗面所しかり、お風呂しかり、ソファのセンターの取り合い…
常にお尻をぶつけ合い、だれかがどこかの角で小指をぶつけうずくまっている光景が日常的なのですから。

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